はじめに
フォームが整ったサイドレイズを行うためには、まずは「肩のすくみ」を抑える必要があります。
そして、「肩のすくみ」を抑えるためには、これに作用する筋肉の働きを抑制しなければなりません。
筋肉の働きを抑制する手段には「相反抑制」というものがあり、これは筋トレやストレッチなど様々な場面で活用されています。
本記事では、「相反抑制」とは何かということと、サイドレイズで肩のすくみを抑えるための相反抑制の活用方法についてを、図を用いて解説していきたいと思います。
肩のすくみを起こす筋肉とは?
↑↑↑サイドレイズを行う時に肩をすくませると、肩甲骨は上に上がるように動きます。
↑↑↑肩甲骨を上に上げる作用を持つ筋肉には、僧帽筋上部線維と肩甲挙筋の二つが挙げられます。
↑↑↑肩をすくめながらサイドレイズを行うと、肩甲骨の上下移動だけが大きくなり、肩関節自体の可動範囲は狭くなってしまいます。
サイドレイズで三角筋をしっかりと鍛えるためには、肩関節を広範囲に動かすことが重要になりますが、上記のようなやり方ではそれが困難になるため、トレーニングの効率は悪くなってしまいます。
↑↑↑そのため、サイドレイズを行っている時は、肩甲骨を上に上げる筋肉の作用を抑制し、肩のすくみを解消しなければなりません。
相反抑制とは?
↑↑↑一つの筋肉を抑制する手段として利用できる神経の作用に、相反抑制というものがあります。
これは一つの筋肉が強く収縮した時に、それとは真逆の作用を持った筋肉が、収縮している方の筋肉からの抑制を受けて弛緩するというものです。
上の図では、関節を曲げる作用を持つ筋肉が強く収縮した時に、関節を伸ばす作用を持つ筋肉が抑制を受けて弛緩する様子が描かれています。
↑↑↑もっと具体的な例としては、肘を曲げた時に起こる上腕二頭筋と上腕三頭筋の間で起こる相反抑制が挙げられます。
これは、上腕二頭筋(肘を曲げる運動に作用する筋)が強く収縮した時に、上腕三頭筋(肘を伸ばす運動に作用する筋)は抑制を受けて弛緩するというものです。
肘を曲げる時に、上腕三頭筋がその運動の妨げにならないように弛緩することで、スムーズな関節運動が行えるようになります。
↑↑↑そして、この相反抑制を肩甲骨周りの筋肉に置き換えて考えると、肩甲骨を上に上げる筋肉を抑制するためには、肩甲骨を下に下げる筋肉をしっかりと収縮させる必要があるということになります。
肩のすくみを起こす筋肉を抑制する方法とは?
↑↑↑肩甲骨を下に下げる作用を持つ筋肉には僧帽筋下部線維が挙げられ、この筋肉を十分に収縮させることで相反抑制が働き、僧帽筋上部線維の作用を抑制することが出来ます。
↑↑↑肩甲骨をしっかりと下に下げるためには、まずは下がり易くなる姿勢を作ることが重要となります。
何故なら、肩甲骨は姿勢の変化に連動して動くものだからです。
背すじを曲げれば肩甲骨は上に上がり易くなり、背すじを伸ばせば肩甲骨は下に下がり易くなります。
↑↑↑背すじを伸ばして肩甲骨を下げやすい状態にすると、僧帽筋下部線維が強く収縮するため、相反抑制の作用で僧帽筋上部線維が抑制を受けて、「肩甲骨は上がり」=「肩のすくみ」を抑えることが出来ます。
まとめ
今回は、「肩をすくめることで収縮される筋肉の抑制方法」について解説していきました。
内容をまとめると、以下の通りになります。
トレーニング中に「相反抑制」や「姿勢と肩甲骨の動きの連動」を意識することで、肩のすくみを抑えたフォームの整ったサイドレイズが行えるようになります。
トレーニングに慣れていない方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。